【抗生物質】実際どう使われている? 副作用とVEBIAの視点~後編~ by 代表の雑談
2026/10/25
前編では、抗生物質が生まれたきっかけと、実は「戦争」が普及の大きなきっかけになっていたこと、そして今の抗生物質がどうやって菌をやっつけているのかについてお話ししました。
後編では、実際の医療現場で抗生物質がどう使われているのか、そして副作用やメリット・デメリットについて、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
「原因の菌がわからないのに、薬を出される」のはなぜ?
ここで、多くの方が疑問に思うポイントについてお話しします。
「菌によって効く薬が違うなら、原因の菌がわからないと正しい薬は選べないのでは?」
これはとても鋭い指摘で、実際の医療現場でもまさにそのとおりの悩みがあります。
本来であれば、検査で原因の菌をきちんと特定してから、その菌にピンポイントで効く薬を選ぶのが理想です。
ただ、菌の種類を調べる検査には、数日かかることも珍しくありません。
感染症は放っておくとどんどん悪化してしまうこともあるため、検査結果を待っている時間的な余裕がないケースも多いのです。
そこで実際の医療現場では、「症状の出方」「体のどの部分の感染か」「患者さんの年齢や持病」といった情報から、「おそらくこの菌だろう」とある程度見当をつけて、まずは幅広い種類の菌に効く薬を先に使うということが、よく行われています。
そのあと、検査で本当の原因菌がわかった段階で、よりピンポイントに効く薬に切り替えていく、というのが本来望ましい流れです。
つまり「同じような薬が一律に出されているように見える」場面の多くは、この「見当をつけて、まず幅広く効く薬を使う」という対応にあたります。
緊急時にはとても合理的な考え方である一方、原因菌をきちんと絞り込まないまま幅広く効く薬が使われ続けると、それだけ多くの種類の菌が薬に慣れてしまい、あとで説明する「耐性菌」を増やしやすいという課題も指摘されています。
また、まだ感染が起きていない段階、たとえば手術の前後などに、感染を予防する目的であらかじめ抗生物質が使われることもあります。
これは「菌がわかっているから薬を出す」のではなく、「感染しそうな状況だから、あらかじめ備えておく」という考え方によるものです。
「まだ感染していないのに」出される抗生物質
この「予防のための抗生物質」は、実は手術以外の場面でも、私たちが思っている以上に幅広く使われています。
たとえば、擦り傷や切り傷でクリニックを受診したとき。
あるいは、歯を抜いたあと。虫刺されや軽い炎症、扁桃腺が少し腫れただけのとき。
こうした「まだはっきりと細菌感染を起こしているわけではない」段階でも、「念のため」「悪化を防ぐため」として抗生物質が処方されるケースは少なくありません。
もちろん、深い傷や汚染のひどい傷、免疫力が落ちている方など、感染のリスクが実際に高い場面では、予防的に抗生物質を使うことに医学的な意味があります。手術前後の予防投与などは、まさにその代表例です。
しかし一方で、「風邪をこじらせないため」「念のため悪化を防ぐため」といった、明確な医学的根拠に乏しいまま、ほとんど反射的に抗生物質が処方されてしまう場面が多いことも、医療の現場で問題視されています。
特に、風邪やインフルエンザなどウイルスが原因の症状に対して抗生物質を使っても、そもそもウイルスには効果がなく、悪化を防ぐ効果は期待できません。
それどころか、必要のない場面で抗生物質を使うことそのものが、耐性菌を生み出すきっかけになってしまうのです。
抗生物質の「乱発」に、今こそ警鐘を
「怪我をしたから、とりあえず抗生物質」「炎症が起きたから、とりあえず抗生物質」。
こうした対応が積み重なっていった結果、世界中で「抗生物質の乱発」とも呼べる状況が起きています。
必要かどうかをきちんと見極めないまま抗生物質が使われ続ければ、それだけ多くの菌が薬に慣れるチャンスを与えてしまうことになります。
世界保健機関(WHO)が、薬剤耐性(AMR)を人類の健康に対する最大級の脅威のひとつとして位置づけているのは、決して大げさな話ではありません。
実際に、抗生物質が効かない耐性菌のせいで、本来なら簡単な治療で済むはずの感染症が治療できなくなる、というケースも世界中で報告され始めています。
もちろん、これは「抗生物質を使うこと自体が悪い」という話ではありません。
命に関わる重い感染症においては、抗生物質はまぎれもなく必要な薬です。
ただ、「怪我をしたから」「炎症が起きたから」というだけで、反射的・習慣的に抗生物質に手を伸ばす今の風潮には、私たちひとりひとりが立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。
抗生物質の副作用・気をつけたいこと
抗生物質はとても頼りになる薬ですが、次のような副作用やリスクも指摘されています。
- アレルギー反応:発疹やかゆみ、まれに命に関わるほど強いアレルギー反応が出ることがあります。
- お腹の不調:吐き気、下痢、食欲不振などは比較的よくみられる副作用です。
- お腹の中の善玉菌への影響:抗生物質は、悪い菌だけでなく、もともとお腹の中にいる体に良い菌まで一緒に減らしてしまいます。これが原因で、下痢になったり、体全体の免疫バランスが乱れたりすることがあると言われています。
- 薬が効かない「耐性菌」が生まれる:抗生物質を使うたびに、その薬に負けない性質を持った菌が生き残り、増えるチャンスを得てしまいます。本当は必要ない場面で使ってしまったり、途中で自己判断でやめてしまったりすることが、この耐性菌を生み出す大きな原因とされています。世界保健機関(WHO)も、この「薬が効かなくなる問題」を、人類の健康にとって最大級の脅威のひとつとして警告しています。
- 体への負担:一部の抗生物質は肝臓や腎臓を通って体の外に出されるため、量や使う期間によっては、これらの臓器に負担がかかることがあります。
メリットとデメリット、まとめてみると
メリット
- 細菌による感染症で命を落とす人を、劇的に減らした
- 手術のあとの感染を防げるようになり、手術や抗がん剤治療など、今の医療そのものを土台から支えている
- 効き目が早く、重い感染症にもしっかり対応できる
デメリット
- 悪い菌だけでなく、体に良い菌にもダメージを与えてしまう
- 使えば使うほど、耐性菌が生まれるリスクが高まる
- 風邪の多くの原因であるウイルスには効果がなく、必要のない場面で使われてしまうことも問題になっている
- 体質によっては、アレルギーや副作用のリスクがある
このように抗生物質は、使い方しだいで「命を救う薬」にも「体のバランスを崩してしまう薬」にもなり得る、いわば「諸刃の剣」と言えるものなのです。
だからこそ大切なのは、「抗生物質は悪い薬だから使わない」ということではなく、「ここぞという緊急時・必要時にこそ、その力をきちんと発揮させる薬」として付き合っていくことではないでしょうか。
重い感染症や、命に関わるような場面では、抗生物質はまさに頼るべき薬です。
一方で、軽い体調不良のたびに、あるいは「念のため」といった感覚で日常的・習慣的に使うものではない、という一線は、はっきり意識しておく必要があります。
VEBIAの視点から見ると
抗生物質という薬は、いわば「外から菌を叩く」という対処のしかたのひとつだと言えます。
もちろん、重い感染症のときに抗生物質が命を救う場面があることは医学的な事実であり、その価値を否定するものではありません。
しかし同時に、抗生物質がお腹の中の菌のバランスに影響を与えうること、そして「菌を薬で叩く」だけでは、そもそもなぜ感染症にかかりやすい体になってしまっていたのか、という根っこの部分には手が届かないこともまた事実です。
VEBIAが大切にしているのは、「薬に頼らずとも、病気に打ち勝てる体を自分自身でつくっていく」という考え方です。
体のバランスが乱れ、巡りが滞ることで免疫力が下がり、感染症にかかりやすい体質になってしまう ― そうした根っこの原因に働きかけることで、そもそも抗生物質に頼らざるを得ない場面そのものを減らしていくこと。
これが、「脱薬・薬のいらない体づくり」を掲げるVEBIAの一貫した考え方です。
繰り返しになりますが、抗生物質そのものを否定するつもりはありません。
命に関わるような重い感染症の場面では、抗生物質は必要な薬であり、そこは医師の判断のもと、頼るべきです。
ただし、それはあくまで「ここぞという緊急時に発揮される力」であって、日々の暮らしの中で当たり前のように、あるいは習慣的に頼るべきものではない、というのがVEBIAの立場です。
多少の不調のたびに薬に手を伸ばすのではなく、まず自分自身の免疫力・治る力を日頃から育てておくこと。
そのうえで、本当に必要な緊急時にだけ、抗生物質の力をしっかり借りること。
VEBIAは、そうした薬との「メリハリのある付き合い方」を、これからも多くの方にお伝えしていきたいと考えています。
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